さんこう丸の健康豆知識
2022年
11月1日
モリブデン
産業上で重要な金属『モリブデン』は、微量ミネラルとされ、体内では腎臓と肝臓に多く存在し、いくつかの酵素の構成成分となっています。
モリブデンが構成成分となっているキサンチンオキシダーゼは、食品に含まれるプリン体という物質の代謝に重要な働きをし、プリン体が分解されて尿酸がつくられる時に関わっています。
尿酸は、老化して壊れた細胞の老廃物の一種です。
銅が不足した状態でモリブデンを摂りすぎると、血液中の尿酸の量が増えて高尿酸血症となります。
人間に必要なモリブデンは微量であり、通常の食事から十分摂取することができるため、モリブデンの欠乏症はほとんど知られていません。
モリブデンは、銅の排泄や鉄の代謝にも関わっています。体内の銅の量が極端に少ない場合には、モリブデンの中毒症状が起こるリスクが高まります。
また、血液をつくるために必要な鉄が不足すると、肝臓に蓄えられている鉄の運搬を助けて、鉄の利用効率を上げ造血を促す働きがあります。
この働きにより、モリブデンは鉄が不足して起こる鉄欠乏性貧血を予防する効果があるといえます。
モリブデンが体内で過剰になると尿酸の代謝に影響を与えると考えられていますが、詳細はまだ明らかになっていません。
【参考】
厚生労働省, 「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」報告書, 349-352, 373.
文部科学省, 食品成分データベース. https://fooddb.mext.go.jp/ranking/ranking.html
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