第4回 検査値の見方その②
今回のテーマは「尿検査」です。
主な尿検査について、その目的と検査方法、検査値の見方についてご紹介します。
①尿糖
*どんな方法?
試験紙を尿でひたし、変色の度合いで判断する「定性検査」と、1日分の尿にどれくらいの糖が出ているかを調べる「定量検査」があります。通常は定性検査で尿糖が出ていると判断した場合に定量検査を行います。
*何がわかるの?
血液は腎臓でろ過され、老廃物や水分は尿として体外に排出されます。このとき、血液中の糖は腎臓ですべて再吸収されて体内へ運ばれますが、血液中の糖濃度が一定の値(通常は160~180mg/dl)を超えると腎臓では再吸収しきれなくなり、尿の中に糖がもれ出てしまいます。このとき、尿検査では陽性反応(+)が出ることになります。
陽性反応が出た場合は、糖尿病や膵炎(すいえん)、甲状腺の機能障害などの可能性があります。
*基準範囲または正常値(参考値)
定性検査:陰性(-)陰性反応が出た場合は正常とみなします。
定量検査:1日あたり1g以下
②尿たんぱく
*どんな方法?
尿糖と同じく、定性検査と定量検査があります。通常の健康診断で行うのは定性検査で、採集した排尿を試験紙にひたして色の変化で判定します。
*何がわかるの?
たんぱく(蛋白)質は腎臓にある糸球体(しきゅうたい)でろ過された後、尿細管(にょうさいかん)で再吸収されて体内に戻るので、尿にたんぱくが含まれることはほとんどありません。尿にたんぱくが混じるのは、腎機能に何らかの障害があるか、あるいは尿管や膀胱(ぼうこう)に異常があって出血しているケースなどが考えられます。
*基準範囲または正常値(参考値)
定性検査:陰性(-)
定量検査:1日あたり100mg以下
③尿潜血(にょうせんけつ)
*どんな方法?
試験紙を尿にひたし、変色の度合いで判断する「定性検査」を行ないます。
*何がわかるの?
この検査では、赤血球に含まれるヘモグロビンが尿中に存在するかどうかを調べます。尿中に赤血球が混じるのは、腎臓や尿管、膀胱に炎症や結石、腫瘍(しゅよう)など何らかの異常が見られる場合です。ただし、過労などから生じる一時的なもの(ほとんど害はない)もあるので、陽性反応が出た場合はさらに細かい検査を行なって診断します。
*基準範囲または正常値(参考値)
陰性(-)
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