さんこう丸の健康豆知識
セレンはビタミンEと一緒に抗酸化物質として作用します。セレンは、タンパク質の一部を構成し、過酸化脂質を分解するときに働く酵素の成分です。動物の発育と生殖に必要であり、精液には亜鉛が多く含まれていることはよく知られていますが、セレンも含まれています。セレンは精子の形成に、亜鉛は精子の運動性に重要な働きをしていると考えられています。セレンは男性にとっては特に重要な栄養素といえるでしょう。
セレンの欠乏症には、克山病、カシン・ベック病があげられ、前者は心筋症の一種で、うっ血性心不全、心臓突然死、不整脈などの症状がみられます。後者は骨関節炎を呈し、重症では関節の奇形と矮小化を起こします。通常の食事を行っていればセレンを欠乏する事はありませんが、完全静脈栄養を行っている患者は過去にセレン欠乏症により亡くなったケースも存在します。しかし現在の医療で完全静脈栄養を行う場合、投与直前に輸液バッグにある栄養の部屋とミネラルの部屋を押しつぶし混合する為、元素が不足する事態にはならないようになっていますのでご安心ください。
一方でサプリメントなど、セレンを慢性的に過剰摂取すると、爪の変形や脱毛、胃腸障害、嘔吐、腹痛、下痢、疲労感、焦燥感、末梢神経障害、皮膚症状などがみられます。またセレンを大量に摂取すると、心筋梗塞、呼吸不全症候群、腎不全、胃腸障害などを引き起こします。
妊娠中の1日の推奨量は+5μg、授乳中では+20μgとなっています。
セレンは毒性が強く、必要量と中毒量の差が小さいため、サプリメントなどの摂取には注意が必要です。
【参考】
厚生労働省, 「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会」報告書, 341-345, 371.
文部科学省, 食品成分データベース. https://fooddb.mext.go.jp/ranking/ranking.html
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