飲み過ぎ食べ過ぎによる胃痛・胃もたれにおすすめの漢方・和漢薬
暴飲暴食による「胃のトラブル」はなぜ起きる?

年末年始は、楽しいパーティーや飲み会の機会が増えるものです。
ただ、つい食べ過ぎたり飲み過ぎたりしてしまい、胃が重くなる……そんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
中医学(中国の伝統医学)では、食べたものがうまく消化できずに胃に滞る状態を「食滞(しょくたい)」や「食積(しょくせき)」 と呼びます。
この状態になると、さまざまな胃の不調が起こります。
- ・胃の不快感
- ・胃の重さ(胃もたれ)
- ・胸やけ
- ・膨満感
- ・逆流感
…など。
胃の不調に効果的な漢方薬
漢方では、食べ過ぎによる胃の不調には平胃散(へいいさん) や 加味平胃散(かみへいいさん) などが伝統的に使われてきました。これらは、滞ってしまった飲食物をさばき、胃の働きを整えることを目的とする処方です。
胃の働きをサポートする和漢薬「三光丸」

和漢薬である三光丸も、胃の働きを助ける薬の一つです。年末年始のような暴飲暴食が増える時期は、手元にあると心強い味方です。
なぜ三光丸が胃のトラブルに効くのでしょうか?
理由のひとつが、主成分であるセンブリです。
三光丸の主成分「センブリ」

三光丸の主成分は、センブリ・ケイヒ・オウバク・カンゾウですが、特にセンブリの含有量が多いことが特徴です。
センブリは日本に自生する生薬で、非常に貴重な植物であり、古くから「苦味健胃薬」として知られていました。
センブリには次のような効能があります。
- ・胃を温める
- ・消化液の分泌を増やす
- ・胃の働きを活発にする
胃の働きを良くするその効き目は強力で、「センブリの香りをかぐと、香りの成分でお腹が空いてくる」と言われるほどです。
飲むタイミングの目安
飲み会の30分前に三光丸を飲むのがおすすめです。
事前に胃の働きを良くしておくことで、消化の準備をします。
飲み会が終わった後に服用するのも、もちろんOKです。
飲むときの注意点
胃液を抑える効果のあるプロトンポンプ阻害薬(PPI)と同時に飲むと、三光丸と作用が相反する場合があります。気になる方は、医師・薬剤師に相談しましょう。
薬だけに頼らない「胃にやさしい習慣」

漢方や和漢薬を取り入れながら、日常の過ごし方を少し見直すことで、胃の負担を軽くできます。
①食物繊維を最初に
野菜、キノコ、海藻類など食物繊維が豊富な食べ物を先に食べておくと、アルコールの吸収が緩やかになり、消化器官への負担が軽くなります。
② 食前にコップ一杯の水を
水を飲んでから食べ始めると、満腹感を得やすくなり、食べ過ぎ防止につながります。
②お酒と同じ量のチェイサー(水)を
アルコールには利尿作用があり、脱水を起こしやすいと言われています。チェイサーを飲むことで脱水を防ぐとともに、体内のアルコール濃度を低くし、悪酔いや二日酔いなどの不調を予防します。
③「シメ」は控えめに
飲んだ後のラーメンやご飯もの、スイーツなどは、胃もたれの大きな原因になります。勢いでたくさん食べてしまわないよう、注意しましょう。
④飲む量や食べる量をあらかじめ決めておく
「今日のビールは2杯まで」などのように、飲み会が始まる前に自分で宣言しておきましょう。「守れるかな」と思う人もいるかもしれませんが、意識するとしないとでは大違いです。飲み過ぎ食べ過ぎを防ぐのは、自らの意志だと心得ましょう。
まとめ

年末年始は、暴飲暴食による「胃痛」「胃もたれ」が起きやすい時期です。
食べ過ぎによる胃の不調には、漢方薬の平胃散などのほか、和漢薬の三光丸もおすすめです。また、胃の負担を減らすためには、日常の食べ方や飲み方を少し変えることも大切です。
楽しいイベントの多い季節こそ、胃にやさしい過ごし方を意識し、冬を元気に乗り切りましょう。
アドバイザープロフィール

浅見 潤(あさみ じゅん)
三光丸クスリ資料館館長
北海道出身。平成12年、三鷹市教育委員会で遺跡の発掘調査と研究に携わる。その後奈良県明日香村に移住し、三光丸クスリ資料館館長に就任。館長職のかたわら、大和売薬および中世大和国の歴史研究を行う。日本薬史学会会員。
著書:『奈良とくすり -祈りと治療の歴史-』(京阪奈情報教育出版、2024年7月)







