お腹が張る・苦しい……膨満感に悩む人のための漢方・和漢薬
お腹が膨れて苦しい、ガスがたまっている感じがする。
そんな「膨満感」に悩んだことがある方は多いのではないでしょうか。
お腹の膨満感はなぜ起こるの?

膨満感は、腸内でガスが発生することによって起こります。
お腹の中にガスがたまることで、お腹が張る、苦しい、重たいと感じやすくなるのです。
膨満感は、「呑気症(どんきしょう)」と呼ばれることもあります。
これは、早食いや炭酸飲料などによって、食べ物と一緒に空気を飲み込んでしまい、胃腸に空気がたまってしまう状態です。
また、イモ類や豆類など、ガスが発生しやすい食べ物が原因になることもあります。
こうした場合、お腹が張ったり、お腹から音がしたり、げっぷやおならが増えたりしますが、一時的なものであれば、それほど心配しすぎる必要はありません。
胃腸の不調が隠れている場合も
一方で、膨満感が胃腸のトラブルにつながっている場合もあります。
たとえば、機能性ディスペプシアと呼ばれる状態があります。
機能性ディスペプシアとは、検査では大きな異常が見つからないのに、胃もたれや胃痛、膨満感など、不快な症状が続く状態で、ストレスが関わることもあるといわれています。
また、膨満感そのものはよくある不調ですが、症状が長く続く場合や、痛み、苦しさ、食欲低下などを伴う場合は注意が必要です。ひどい場合には、腸閉そくや胃がん、大腸がん、子宮筋腫、卵巣のう腫など、別の病気が隠れていることもあります。
痛みや苦しさがあるときは、自己判断せず病院を受診しましょう。
膨満感と胃痛・腹痛・胃もたれの関係

膨満感は、お腹が張る感じが中心の不調ですが、胃痛や腹痛、胃もたれと一緒にあらわれることもあります。
たとえば、胃の働きが落ちて消化がうまく進まないと、食べたものが胃にとどまり、胃もたれや膨満感につながりやすくなります。
また、腸の動きが弱っていると、ガスや便がたまりやすくなり、腹痛やお腹の張りを感じることもあります。
特に、ストレスや疲れが重なると、胃腸の動きが乱れやすくなり、胃もたれや膨満感が起こりやすくなります。
漢方で考える「膨満感」
中医学では、膨満感は「脾気虚(ひききょ)」といわれる状態として考えられます。
これは、消化吸収に関する機能が弱ることによって、お腹が張りやすくなっている状態です。
さらに進行すると、「脾陽虚(ひようきょ)」という状態になり、体を温める力まで衰えてきます。そのままにしておくと、冷えや下痢などの症状も出やすくなります。
膨満感に使われる漢方・和漢薬
膨満感に用いられる漢方・和漢薬には、体質や状態に応じてさまざまなものがあります。
脾気虚のタイプには、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や六君子湯(りっくんしとう)などが使われることがあります。胃腸の働きが弱く、疲れやすい、食欲がない、お腹が張るといった方に考えられる処方です。
一方、脾陽虚のタイプでは、理中湯(りちゅうとう)や附子理中湯(ぶしりちゅうとう)などが考えられます。
むくみがある場合には、真附子湯(しんぶしとう)のように、水分の停滞した状態に働きかける処方が用いられることもあります。
膨満感には三光丸もおすすめです

膨満感が気になるときには、和漢薬の三光丸も心強い存在です。
特に、ストレスなどで胃腸の動きが弱っている方の膨満感には、三光丸が役立つことがあります。
胃腸の働きを整えることで、消化不良や食後の重たさ、胃もたれをやわらげる助けになります。
また、三光丸にはケイヒが含まれているため、体を温める効果も働きます。
冷えによって胃腸の動きが落ちている方、お腹が冷えて張りやすい方にも取り入れやすい和漢薬です。
膨満感が起こってからだけでなく、普段から常用することで、膨満感を防ぐ効果も期待できます。
膨満感をやわらげるセルフケア
膨満感をやわらげるには、漢方・和漢薬だけでなく、毎日の生活習慣を見直すことも大切です。
●体を温める食べ物をとる
ショウガ、シナモン、ネギ、かぼちゃなど、体を温める食べ物は、胃腸の働きを助けてくれます。
●冷たい飲食を避ける
冷たい飲み物や食べ物をとり過ぎると、胃腸の動きが鈍くなり、お腹が張りやすくなることがあります。
●早食いを避ける
早く食べると、食べ物と一緒に空気を飲み込みやすくなり、胃腸に空気がたまり、膨満感が起こりやすくなります。
●野菜や乳製品をうまくとる
腸内環境を整えるために、野菜や乳製品を意識してとることも大切です。便秘を防ぐことが、お腹の張りをやわらげることにつながります。
●適度に運動する
軽い運動は、胃腸の働きをよくする助けになります。体を動かすことで腸の動きも活発になり、ガスや便がたまりにくくなります。
まとめ

お腹が張る、苦しい、ガスがたまる感じがする膨満感は、よくある不調のひとつです。早食いや炭酸飲料、ガスが発生しやすい食べ物などが原因になることもあれば、機能性ディスペプシアやストレス、胃腸の働きの低下が関わっていることもあります。
漢方では、脾気虚や脾陽虚といった体質の面から考え、その人の状態に合わせて整えていきます。
毎日の食事や生活習慣も見直しながら、三光丸などの漢方・和漢薬を上手に取り入れて、お腹の張りや苦しさをやわらげていきましょう。
アドバイザープロフィール

浅見 潤(あさみ じゅん)
三光丸クスリ資料館館長
北海道出身。平成12年、三鷹市教育委員会で遺跡の発掘調査と研究に携わる。その後奈良県明日香村に移住し、三光丸クスリ資料館館長に就任。館長職のかたわら、大和売薬および中世大和国の歴史研究を行う。日本薬史学会会員。
著書:『奈良とくすり -祈りと治療の歴史-』(京阪奈情報教育出版、2024年7月)
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